記事の表示
このブログアプリケーションでは、記事はリスト形式での表示と単独での表示が可能です。前者は index 操作として実装され、後者は view 操作として実装されています。このセクションでは、初期の要求を満たすように両方の操作をカスタマイズします。
view 操作のカスタマイズ
view 操作は PostController の actionView() メソッドで実装されています。表示内容は view というビューで生成されます。ビューファイルは /wwwroot/blog/protected/views/post/view.php です。
以下のコードが、PostController で view 操作を実装する部分です:
public function actionView() { $post=$this->loadModel(); $this->render('view',array( 'model'=>$post, )); } private $_model; public function loadModel() { if($this->_model===null) { if(isset($_GET['id'])) { if(Yii::app()->user->isGuest) $condition='status='.Post::STATUS_PUBLISHED .' OR status='.Post::STATUS_ARCHIVED; else $condition=''; $this->_model=Post::model()->findByPk($_GET['id'], $condition); } if($this->_model===null) throw new CHttpException(404,'リクエストされたページは存在しません。'); } return $this->_model; }
主な変更点は loadModel() メソッドにあります。このメソッドで、GET パラメータの id に従って Post テーブルに問い合わせをします。記事が見つからない場合、あるいは、(ユーザがゲストであって) 記事が公開もアーカイブもされていない場合は、404 HTTP エラーを投げます。そうでなければ、記事オブジェクトが actionView() に返され、表示のためにビュースクリプトへと渡されていきます。
ヒント: Yii は HTTP 例外 (CHttpException のインスタンス) を捕捉し、定義済みのテンプレートか、カスタマイズしたエラービューで表示します。
yiicで生成されたスケルトンアプリケーションには既にカスタマイズしたエラービューが含まれています。ファイルは/wwwroot/blog/protected/views/site/error.phpです。このファイルを修正すれば、エラー表示を更にカスタマイズできます。
view スクリプトの変更は、記事の表示に関するフォーマットとスタイルを調整することが中心になります。ここでは詳細には立ち入りません。興味のある方は /wwwroot/blog/protected/views/post/view.php を参照してください。
index 操作のカスタマイズ
view 操作と同様に、index 操作でも2ヶ所をカスタマイズします。PostController の actionIndex() メソッドと、ビューファイル /wwwroot/blog/protected/views/post/index.php です。主として、特定のタグに結び付いた記事の一覧表示に対するサポートを追加することが必要になります。
以下は、PostController の actionIndex() メソッドを修正したものです:
public function actionIndex() { $criteria=new CDbCriteria(array( 'condition'=>'status='.Post::STATUS_PUBLISHED, 'order'=>'update_time DESC', 'with'=>'commentCount', )); if(isset($_GET['tag'])) $criteria->addSearchCondition('tags',$_GET['tag']); $dataProvider=new CActiveDataProvider('Post', array( 'pagination'=>array( 'pageSize'=>5, ), 'criteria'=>$criteria, )); $this->render('index',array( 'dataProvider'=>$dataProvider, )); }
上の例では最初に、記事リストを取得するためのクエリー基準を作成します。この基準は、公開済みの記事だけを返し、並び順を更新時刻の降順にするという内容です。また、リスト表示するときは各記事のコメント数を表示したいので、commentCount を返す指示もあります。覚えているか分かりませんが、これは Post::relations() で宣言したリレーションです。
ユーザが特定のタグの記事を見たいという場合は、検索条件をクエリー基準に追加して、特定のタグだけを探すようにします。
このクエリー基準を使って、データプロバイダーを作ります。データプロバイダーは主に3つの仕事をこなします。まず、データが多いときにページネーション (ページ送り処理) をします。ここではページサイズを5にセットして、ページネーションをカスタマイズしています。次に、ユーザの要求に合わせてソートを行ないます。最後に、ページ送りとソートをしたデータを表示用のウィジェットやビューコードに供給します。
actionIndex() の修正が完了したら、index ビューを以下のように修正します。主な変更点は、表示する記事をユーザがタグで指定したときに、h1 ヘッダーを追加することです。
if(!empty($_GET['tag'])): <h1><i><?php echo CHtml::encode($_GET['tag']); </i> というタグを持つ記事</h1> <?php endif; <?php $this->widget('zii.widgets.CListView', array( 'dataProvider'=>$dataProvider, 'itemView'=>'_view', 'template'=>"{items}\n{pager}", ));
上の例で、記事リストの表示に CListView を使っていることに着目して下さい。このウィジェットは、個々の記事の詳細を表示するために部分的ビュー (partial view) を必要とします。ここで partial view として指定している _view は、/wwwroot/blog/protected/views/post/_view.php のことです。このビュースクリプトの中では、$data というローカル変数を使って、記事のインスタンスにアクセスできます。